SIの基本単位の大きさは,つぎのように定義されている.*1

時間(second,s)は,133Cs原子の基底状態の2つの超微細準位(F=4, M=0およびF=3,M=0)の間の遷移に対応する放射の9192631770周期の継続 時間である.*1

長さメートル(metre,m)は,光が真空中で1/(299792458)sの間に進む距 離である.*2

質量:国際キログラム原器の質量をキログラム(kilogram,kg)とする.*2

電流アンペア(ampere,A)は,真空中に1mの間隔で平行に置かれた,無 限に小さい円形断面積を有する,無限に長い2本の直線状導体のそれぞ れを流れ,これらの導体の長さ1mごとに2×10-7Nの力を及ぼし合う一 定の電流である.

温度:熱力学温度の単位ケルビン(kelvin,K)は水の三重点の熱力学温度 の1/273.16である.温度間隔にも同じ単位を使う.

物質量モル(mole,mol)は0.012kgの12Cに含まれる原子と等しい数(*3) の構成要素を含む系の物質量である.モルを使用するときは,構成要素 を指定しなければならない.構成要素は原子,分子,イオン,電子その 他の粒子またはこの種の粒子の特定の系の集合体であってよい.

光度*4:カンデラ(candela,cd)は周波数540×1012Hzの単色放射を放出し 所定の方向の放射強度が1/683W・sr-1である光源の,その方向における 光度である.

平面角ラジアン(radian,rad)は円の周上で,その半径の長さに等しい 長さの弧を切り取る2本の半径の間に含まれる平面角である.

立体角ステラジアン(steradian,sr)は球の中心を頂点とし,その球の 半径を1辺とする正方形に等しい面積を球の表面上で切取る立体角であ る.

*1 古くは秒は平均太陽日の1/(24×60×60)とされていた.平均太陽日とは1年間の太陽の平均速度をもって赤道上を等速運動する仮想の太陽 (平均太陽)が子午線を通過してからつぎに同じ子午線を通過するまでの 時間である.しかしこの平均太陽日,したがって平均太陽秒はわずかな がら時とともに変化するので,1956年に不変な時間の単位としての秒が 1900年1月0日12時(暦表時)における回帰年の1/31556925.9747と定義 された(暦表秒).回帰年とは太陽が春分点を通過してからつぎに再び春 分点を通過するまでの時間で,毎年約0.005秒ずつ短くなる.その後, 1967年に原子的標準による現在の秒の定義が採用された.

*2 元来メートルは地球の子午線の北極から赤道までの長さの10-7,キロ グラムは1気圧,最大密度の温度における水1000cm3の質量と規定され, 後にこれらに基づいた2種の国際原器が作られたが,その後の精密な測 定の結果,最初の規定と原器による定義とに差異のあることが判明し, それからはいずれも国際原器によって単位の大きさを定義することにな った(1889).その後長さについては原器と光の波長との比較が行われ, 86Kr原子の橙色のスペクトル線(2p10-5d5)の真空中における波長の 1650763.73倍を1メートルとすることになり(1960),さらに光の速度の 測定精度の向上により現在の定義におきかえられた(1983)(「気体レー ザーの発振波長」参照).

*3 アボガドロ数.

*4 点光源のある方向の光度とは,単位時間にその方向にむけて単位立体 角中に放射される放射エネルギーを,国際的に定めた標準の比視感度分 布で計った明るさの感覚を表す量である.有限の大きさの光源はその大 きさを無視し得るほど大きい観測距離においてこれを点光源と見なして 上の定義を用いる.