基本的なグラフ表示器は,「制御器」パレットの中の「グラフ表示器」に納められており,次の3種類がある。
波形チャート | 横軸(時間軸)は等間隔。データを1点または複数点ずつ追加表示する。 |
波形グラフ | 横軸(時間軸)は等間隔。配列データを受け取り,それを画面に表示する。 |
ExpressXYグラフ | 任意の点列{(x,y)}のグラフを描く。 |
いずれも,複数のデータをクラスタにして渡すと,複数のグラフを同時に表示してくれる。
※「全制御器」の中の「グラフ」には,この他のグラフ表示器も納められている。
例1 sin(2πf t)のグラフを波形チャートで表示する。
1.フロントパネルに「波形チャート」と「ポインタスライド」を貼り付ける。
ポインタスライドのプロパティで,
・ラベルを f
・データ範囲の最小値=1,最大値=5,増分=1
・スケールの最小値=1,最大値=5
などを設定する。
2.ブロックダイアグラムで,「波形チャート」と「ポインタスライド」をWhileループで囲む。
3.ループカウンタ i が1増えると時間tが 1/100 sec 増える(すなわち,t=i/100)として,以下のような配線をする。
ここでは,リアルタイムにデータを送るために,「次のミリ秒倍数まで待機」に10を設定して1/100秒毎にループが進むようにしている。
4.「波形チャート」の表示が,上記の設定と合うように以下のプロパティを設定する。
・プロットの名前を sin にする。
・スケール Y軸で,最小値=-1,最大値=1にする。
・スケール X軸で,最小値=0,最大値=1,スケール係数の乗数=0.01 とする。
データが画面の右端に達した後の動作については,次の3つの更新モードのいずれかを選択する。
練習 それぞれのモードにして,動作を確認せよ。
例2 sin(2πf t) と cos(2πf t) のグラフを同時に描く。
1.cos関数を追加し,sin関数とcos関数の出力をバンドルして波形チャートに送る。
2.「波形チャート」のプロパティで以下を設定する。
・プロットの2番目の名前を cos にする。
・外観のプロット凡例を2つにする。(フロントパネル上で,凡例をドラッグして広げてもよい。)
2つのグラフの表示法には,
の2つの方法がある。(ショートカットメニュー または プロパティの外観→スタックプロット)
練習 両方の表示法で実行し,動作を確認せよ。
波形グラフは,データの配列を1画面のグラフに表示する。このとき,横軸(x)の間隔は等間隔になる。データ配列の他に,横軸左端のxの値やデータの間隔(Δx)を,配列データとバンドルして渡すことができる。
先の波形チャートの例において,データをForループで配列にすれば,波形グラフでも同様な例が作れる。
ここでは,信号シミュレーションVIを使った例を示す。
例1 信号シミュレーションを使ったグラフ表示
1.フロントパネルに,「波形グラフ」と「ポインタスライド」を2つ貼り付ける。
ポインタスライドのプロパティで,
・ラベルを 「振幅」と「周波数」
・データ範囲の最小値=1,最大値=10,増分=1
・スケールの最小値=1,最大値=10
などを設定する。
2.ブロックダイアグラムに,「関数」パレット→入力→信号(信号シミュレーション)を貼り付ける。すぐに,プロパティ設定画面が出るが,ここでは,既定のままOKをクリックすればよい。(後で,各設定項目を確認しておきましょう。)
3.「信号シミュレーション」の端子をポイントすると端子名が表示されるので,数値制御器「周波数」と「振幅」を「信号シミュレーション」の適切な端子に接続する。
4.「信号シミュレーション」の出力を「波形グラフ」の入力に接続する。このときのデータは,ダイナミックデータと呼ばれる独特のもので,単に配列や数値をバンドルしたものとは異なる。(ダイナミックデータと配列などの相互変換を行う関数が「関数」パレット→「信号操作」の中に用意されている。)
5.ブロックダイアグラム上のすべての部品をWhileループで囲む。
6.「波形グラフ」のプロパティで,y軸のスケールを最小値-10, 最大値10 に設定する。
制御器→グラフ表示→ExpressXYグラフには,信号入力を便利にするため,「XYグラフ作成」というExpressVIが付いてくる。
XYグラフそのものも,制御器→全制御器→グラフの中にあるが,通常はExpressXYグラフを使うのが便利だろう。
例1 位相差を持ったSin関数のXYグラフ(最も簡単なリサージュの図形)
1.フロントパネルに「ExpressXYグラフ」と「ダイヤル」を貼り付ける。
ダイヤル(ノブ)のデータ範囲,スケールともに,最小値は0,最大値は6.28(2π)とする。
2.ブロックダイアグラムで,上図のように配線する。
ここでは,
として,および
の値の配列をForループで作成し,それぞれXYグラフ作成のX入力,Y入力に渡している。
はダイヤルで与える位相差である。
Forループで作られた配列を,「XYグラフ作成」のX入力やY入力端子に接続すると,自動的にデータに変換が配置される。
※「繰り返し実行」で実行してみよ。
練習 Y入力をなどに変えてみよ。