熱と温度
熱はエネルギーの一種です。
物体全体の運動や変形にともなうエネルギーではなく,目で見てもわからない物体内部の原子のランダムな運動にともなうエネルギーです。
原子のレベルで見ると(ミクロな見方をすると),熱エネルギーも各原子の運動エネルギーや位置エネルギーですが,物体全体を見ると(マクロな見方をすると),物体全体の運動エネルギーや位置エネルギーとは別なエネルギーになります。
一方,温度は原子のランダムな運動の激しさを表す量です。
大雑把に言えば,原子1個当たりの平均熱エネルギーに比例します。もう少し正確には,1自由度当たりの平均エネルギーに比例します。
熱は(エネルギー)量を表すのに対し,温度は(ランダム運動の程度の)強さを表す量です。
熱は示量性,温度は示強性であるという言い方もされます。
例 30℃の水が1リットル入った容器を2つ用意して,それらの水を合体させたとき,熱量はそれぞれの熱量の和になりますが,温度は30℃のままです。(量は足し算できますが,強さ・程度はそのままでは足し算できません。)
熱と温度の概念アニメーション
熱量の単位
熱はエネルギーですから,熱量の単位は,J (ジュール)です。
J = N・m = kg・m2/s2
熱の単位としては,cal (カロリー)も使われます。1g の水の温度を1℃上げるのに必要な熱量が
1 cal ですから,日常的には便利な単位です。
1 cal = 4.186 J (約 4.2 J と覚えておけばよい)
(参考)この関係を熱の仕事当量と言います。
熱とエネルギー(仕事)の換算関係は,ジュールの実験で初めて確立されました。
ジュールは,容器内の水を羽根車でかき混ぜる実験を行いました。
羽根車を回転させるための仕事と水の温度上昇の関係から「熱の仕事当量」を得ました。
温度の単位
- セ氏(℃)
- 日常最もよく使われる単位で,1気圧の水の氷点を 0 ℃,沸点を 100 ℃とします。
セ氏,摂氏 ← Celsius(セルシウス,中国語:摂爾修斯)
- 絶対温度(K)
- 最低の温度は,すべの原子が静止してしまった状態で,これを絶対0度といいます。
セ氏とは0度の位置が異なるだけで,間隔は同じです。
絶対温度は,記号K(ケルビン,°は付けない)で表します。
0 K = -273.15 ℃
- カ氏(°F)
- 食塩水が凍る温度を 0°F,人間の体温を 100°Fとする温度目盛。
セ氏温度C と カ氏温度F の関係は, F = (9/5)C + 32
カ氏,華氏 ← Fahrenheit(ファーレンハイト,中国語:華倫海)