一般に,異なる媒質の境界面で光は反射する。
その際に,以下の反射の法則が成り立つ。
(1) 入射角 と 反射角
は等しい。
入射角(反射角)とは,入射光線(反射光線)と反射点に立てた反射面の法線がなす角のことである。
(2) 入射光線,反射光線,および反射点に立てた反射面の法線の3つは同一平面内にある。
上記の法則から,入射光と反射光を入れ替えた場合も起こりえることがわかる。すなわち,「反射光線」と逆向きに入ってきた光線は,反射された後,「入射光線」と逆向きに出て行く。
これは,反射のみならず,後述の屈折があるときも成り立ち,光線逆進の原理と呼ばれている。
下の左図は,Aさんの目から出た光がBさんの目に入っている様子である。これは,BさんがAさんの目を見ている場合である。逆に,右図は,AさんがBさんの目を見ている場合である。
左図の光線があれば,右図の光線もあるので,鏡の中に別な人の目が見えておれば,その人は鏡の中にあなたの目を見ていることになる。
通常の物体の表面は,滑らかに見えるものでも,μm単位で見れば凸凹しているのが普通である。そのため,一定の角度で入射した光もさまざまな方向に反射される。これを乱反射という。
物体がどの方向からでも見えるのは乱反射のおかげである。
日常の状況では,物体に入射する光も乱反射を経たものがほとんどであるから,入射光自体もあらゆる向きを持っているのが普通である。