物質中の光速度 は, 真空中の光速度
よりも遅くなる。
このとき, で 絶対屈折率
を定義する。
物質 絶対屈折率 空気 1.0003 氷 1.31 水 1.33 ガラス 1.5〜1.9 ダイヤモンド 2.42
絶対屈折率が の物質から
の物質へ光線が入射するとき,次の屈折の法則が成り立つ。
(1) 入射角を,屈折角を
とすると,
(Snell の法則)
が成り立つ。
(2) 入射光線,屈折光線,および法線は同一平面上にある。
相対屈折率 を使えば, Snellの法則は,
と書ける。
図のように,空気から入射した光線がガラスで屈折するとき,
が成り立つ。
ガラスの表面と裏面が平行であれば,ガラスから水への屈折では,
が成り立つ。
その結果,
が成り立つので,屈折角は空気から水に直接入射したときと同じになる。ただし,入射点はずれる。
このため薄い容器であれば,容器を無視して考えてもよい場合が多い。
さらに一般的に,右図のように多数の平行な層で屈折が起こる場合も,
が成り立つので,最初と最後だけを考えればよい。
特に,多数の層の両側が同じ物資で のときは,
となり,最初の入射角と最後の屈折角が等しくなる。
多数の層の各層を無限に薄くしていくと,連続的に屈折率が変わる場合も同じことが成立することがわかる。
(参考1)
物質1と物質2の屈折率が等しければ,その境界では反射は起こらず,光線は直進する。
サラダ油の中にガラスのコップを入れると見えなくなるという演示実験があるが,
これはサラダ油とガラスの屈折率がほぼ等しいためである。
観賞魚用の水槽には,屈折率が水の屈折率に等しいプラスチックで作ってあるものがある。
こうすると,容器と水の境界での反射が無くなり,中がよりきれいに見える。
(参考2)
電磁気学によると,光速度は誘電率と 透磁率
を使って,
と書ける。
したがって,絶対屈折率は,
である。ただし,強磁性体を除く多くの物質では,(真空の透磁率)であるので,
が成り立つ。