波動方程式の一般解

さまざまな波動の変位は,変位が小さいという近似をすれば,次の波動方程式を満たす。

 ・・・・・・・・・・・・ (1)

ここの定数 は波の速さを表すことが,以下の一般解(2)からわかる。

※変位はベクトルだが,その各成分が(1)を満たす。

(参考)3次元の波動方程式
 3次元の場合,変位は となり,波動方程式は以下のようなる。
    

波動方程式(1)の一般解は,

 ・・・・・・・ (2)

となる。ここで は任意の関数である。(証明はこちら

の正の向きに, の負の向きに,速さで進む波を表すので,それぞれ,進行波,後退波と呼ばれる。

波動方程式の一般解は,任意の進行波と後退波の重ね合わせになる。
この一般解は,ダランベール(d'Alembert)の解と呼ばれる。


補足説明  の正の向きに速さ で進む波を表すことは,次のようにしてわかる。

任意のについて, における値はにおける値と等しくなる。したがって,の正の向きに だけ平行移動したものである。

時間が 経過すると だけ移動するので,その速さは になる。

同様に, は, の負の向きに速さ で平行移動したものであることがわかる。


(1)の一般解が(2)であることの証明

とおき,変数を からに変換する。

     
     
同様に,
     

であるから,波動方程式(1)は,
     
すなわち,

と書けることがわかる。

から, に依存しないことがわかるので,
     
と書ける。ここで, は任意の関数である。これを, で積分すると,
     
となるが,積分定数 は, には依存してよい。

したがって,

となり,波動方程式(1)の一般解が(2)であることが証明できた。