波動方程式の初期値問題

1次元の波動方程式 の一般解は,

・・・・・ (1)

であるが,ここでは特定の初期条件を満たす解を考える。

初期条件として, における各点の変位と速度が,

・・・・・ (2a)
・・・・・ (2b)

のように与えられているとする。

速度は,式(1) より であるから,(2a), (2b) は以下のように書ける。

・・・・・ (3a)
・・・・・ (3b)

式(3b) の両辺をで積分すると,

・・・・・ (4)

を得る。ここで, は任意の定数である。

式(3a) と (4) から,

・・・・・ (5a)
・・・・・ (5b)

であることがわかる。
したがって,初期条件 (2a) (2b) を満たす解は,次式で表される。

・・・・・ (6)

この式は,ダランベール(d'Alembert)の解,またはストークス(Stokes) の公式と呼ばれることがある。

現実の状況では,無限に続く媒体を考えることはほとんど無く,有限区間の媒体を扱うのが普通である。
そのときは, も有限区間での値だけが定義されている。
ところが,(6)式では, が定義されていない場所での値も必要になる。
このような場合,媒体が無い部分の関数値は,境界条件を使うと決めることができる。

例1 初速度が0,つまり の場合は,

・・・・・ (7)

となり,変位の時間変化は,下図のようにグラフから容易に求めることができる。


例2 初期変位が0,すなわち で, が簡単な形の場合も,

・・・・・ (8)

であるから,グラフから変位を求めることができる。