ここで使う記号はすべて前のページと同じである。
ここでは,自然長のときにちょうど隙間が無くなるようなばねを鉛直につるしておき,縮めた状態で手を離して振動させる場合を考える。
スリンキーSlinky などと呼ばれ,斜面や階段を下りることができるばねがこの例である。
自然長で隙間があるばねは,この初期状態を作ることが難しい。
このとき,初期変位は0,すなわち になる。したがって,初期条件は,
,
となる。ここで, は波の速度で,
である。
これから, のグラフは下図のようになる。
これを式で書くと,
となり,求める変位は,
で与えられる。また,周期 は,
で与えられる。
以下に1周期分の変位を具体的に示しておく。
(0) ![]() ![]() |
![]() |
(1) ![]() ![]() ![]() ばねの下部は自由落下する。 |
![]() |
(2) ![]() ![]() ![]() つりあいの状態を経過する。 |
![]() |
(3) ![]() ![]() ![]() |
![]() |
(4) ![]() ![]() ![]() 最大のふれは,つりあいの変位の2倍になる。 |
![]() |
(5) ![]() ![]() ![]() 以降は,(3), (2), (1) を逆行することになる。 |
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(6) ![]() ![]() ![]() |
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(7) ![]() ![]() ![]() |
![]() |
(注) (5), (6), (7) の変位の式は,それぞれ (3), (2), (1) の を
で (
を
で ) 置き換えたものになる。
特に,ばねの下端の運動,すなわち下端 の変位は,下図のようになる。
最初は,ばねの下端部にはばねからの力は働かず,重力のみが働くので,ばねの下端部は自由落下する。
などでは,ばねが自重で伸びてつり合った状態を経過することになる。