水面での屈折

水中の物体は,実際よりも浅いところにあるように見える。
プールや風呂も,水が入っていると,底が浅く見えることもよく経験しているだろう。

これらは,水中の物体を,水面の上から見たときの像(虚像)が,実物より上の位置にできることによる。

平面鏡や近似したレンズや球面鏡の場合と異なり,この場合の像の位置は目の位置によって変わってくる。


 水面下 の位置にある物体を真上から見たとき, その像の深さ を求める。

水中からの入射角を, 空気中への屈折角を とし, 水の屈折率を とする。
スネルの法則は, であるが, 角度はすべて小さいので, などの近似が使えるので,

となる。一方,図より,

という関係があるので,

となる。すなわち,深さ にある物体は, の位置にあるかのように見える。
水の屈折率は であるから, 像は実際の深さの の位置にできる。


目が物体の真上でない場合は,目の位置に至る,わずかに角度が異なる屈折光線を考え,その交点から虚像の位置を求める。

この像の位置は,目の位置により大きく変わる。
特に,目が水面に近い(屈折角が90°に近い)場合は,像は水面直下になることがわかる。

(参考)像の位置の計算例


 顕微鏡でスライドグラス上の細粉を見ているとき,カバーグラスを被せると,顕微鏡を距離 だけ上げなければならなかった。
  さらに,カバーグラスの上に細粉を置くと,それを見るのに顕微鏡をさらに だけ上げる必要があった。
  細粉の厚みは無視して,カバーグラスの厚さと屈折率を求めよ。

 (こたえ) 厚さ , 屈折率