具体例2 ばねの下端を引き下げ,静止した状態で手を離した場合

このページの記号は,先のページと同じである。

まず,ばねの下端を力 で引き,静止させた場合の変位を求める。

つりあいの式,
     ,     
と,境界条件
     
     
から,
     
が得られる。ただし, は,ばねが自重とつり合っている場合の変位で,
     
である。

により,ばねの下端はつり合いの位置から 伸びるので,ばねの下端を だけ引き下げた場合の変位は,
     
である。
これと初速度が0であることを初期条件とし,この状態で,手を離した後の運動を考える。

先のページで示したように,
     
とすると, は通常の波動方程式を満たす。境界条件は,
     
     
であり,初期条件は,
     
     
である。

解も先のページに示した手順に従えばよい。まず,
     
を, に関して対称な, 周期の奇関数に拡張して,
     
を得る。ここで, は整数である。

この を使って,求める変位は,
     
で与えられる。


初期状態から半周期までを具体的に示しておく。

(0)  のとき,
  
(1)   のとき,
  

 ばねは自由端から縮んでいく。
(2)   のとき,
  

 つりあいの状態を経過する。
(3)   のとき,
  

 固定端から縮んでいく。
(4)   のとき,
  

 この後,ばねは逆の過程をたどり,初期状態に戻る。

実験をする際の問題点